妊娠中は胎児への影響を心配して通常の治療をためらうことがありますので一般的な注意点をお知らせします。
1)検査:
腹部のCTスキャン、大腸のレントゲン検査は、必要ならまず産科主治医に、ご相談下さい。超音波検査は可能です。MRI検査は妊娠12週以降まず安全とされています。
2)抗生物質:
セフェム系が第一選択で、ペニシリン系、マクロライド系も安全です。ニューキノロン系は禁忌です。
3)鎮痛消炎剤:
いわゆるNSAIDSは特に妊娠中期以降は好ましくありません。初期の使用に関しても、効き目はやや弱いですが、一般名:アセトアミノフェン(製品名:カロナール、ナパなど)が安全です。
4)局所麻酔:
歯科治療でよく行われますが、可能です。妊婦とその他の人を特に区別する必要はなく、一般的な注意で可能です。
5)レントゲン撮影:
妊 娠初期の器官形成期(胎児の発育初期で、奇形が起こりうる時期)でも、通常の単純撮影であれば、奇形発生の危険な線量(閲値といいます)を越えることはま ずありません。腹部が照射野でなければ、胎児の被爆線量はほぼゼロです。ゆえに、肺炎が疑われるときの胸部単純撮影、歯科の顎のレントゲン撮影、整形外科 での手足のレントゲン撮影などは心配ありません。心理的には、お腹を隠す鉛入りの重いエプロンがあればいいかと思います。造影検査やCTスキャンは、先に 相談してください。
以上よく質問される事柄についてとりあげました。不安な事があれば産婦人科主治医と担当する医療機関に十分御相談して治療を安心して行ってください。